2013年の顧問料の平均額はいくら?
2015/09/09
会計事務所業界の最新動向を数字と統計で分析し、好評を得ている「会計事務所の経営白書(トレンド)」。その2014年版の発行に向けて、本紙ではプレアンケートを実施している。
8月の調査テーマは「顧問料」。低価格化、業務と価格の不釣合い、値上げ提案の難しさなど、所長先生の抱える悩みは数多い。
今回調査を行った多岐にわたる項目のなかから、今月号では「最新の顧問料平均額」「報酬規程の有無と新規顧問契約の増減との関連性」について考えてみたい。
(アンケート有効回答数:255件/調査期間:2013年6月~7月)
平均顧問料は3万2,117円年間平均顧問料は52万9,930円
調査の結果、2013年現在の平均顧問料は3万2,117円となった。これに、今回の調査で割り出した平均決算料である4.5ヵ月分を加えると、1件あたりの年間平均顧問料は52万9,930円となる。
昨今の、低価格競争、顧問料の低価格化が進んでいるという状況を考えるとそれなりの金額のように思える。しかし、「5年前の顧問料と比べて顧問料は増えた? 減った?」という問いに対しての答えを見るに、やはり顧問料の下落傾向は根深いことがわかる(上がった「3.7%」、下がった「63.0%」、変わらない「33.3%」)。
また、顧問料の主な算定基準としては「業務量」(64.7%)と「顧問先の年商」(48.2%)との答えが上位を占めた。
顧問先の支払能力がそのまま顧問料に直結するために、どうしても顧客サイドの都合により価格が決まってしまい、能動的に希望の価格でサービスを売れないジレンマを会計事務所は抱えている。
そのなかでどうやって、事務所経営を円滑に回せるよう、業務量と顧問料のバランスを取っていくのかという課題の解決策はいまだ見えてこない。
報酬規程と新規獲得の関連性ありと答えた事務所の7割が「増」
今回、顧問料に関する調査の一環として、報酬規程についてもアンケートを取った。その結果、興味深い事実が明らかになった。
報酬規程が「ある」と答えた事務所のうち、72.3%が昨年よりも顧問先総数を増やしていると答えたのに対して、報酬規程が「ない」と答えた事務所では46.7%と、大きく差が開いた結果となった。
これは、報酬規程がクリティカルに契約促進に役立っているというわけではなく、事務所内で集客から問い合わせ、問い合わせから成約までの一連のフローが整備されており、その流れのなかで報酬規程が使われていることの現れではないかと予想される。
一方、報酬規程を用意していない事務所では、40%もの事務所で昨年よりも顧問先を減らしている。
会計事務所を選ぶ際に相見積もりが当たり前になり、いくつかの事務所の話を聞き比べてから契約へと進む見込み客に、明確な形で顧問料を説明できないと、新規契約を結ぶのは難しいという、昨今の風潮が顕在化した結果となった。
報酬規程は新規契約だけではなく、顧問料アップの根拠や、会計事務所が行う作業領域の設定など、幅広い役割を果たす。
まだ、用意していない事務所は、早めに策定するほうが良いだろう。
■所長の声
「業務量と顧問料が比例していないが、値上げもしにくい」(K会計事務所)
「ネットで巻き起こっている激安合戦に巻き込まれ、価格を下げざるを得ない」(K公認会計士事務所)
「同じ作業量なのに顧問料にバラつきがある」(E税理士事務所)
「顧問先が値下げを要求するようになった」(C会計事務所)
「業務量が増えても顧問先の支払い能力を考えると値上げ提案しづらい」(O税理士事務所)