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会計事務所業界に広がる常識を検証する!

      2015/09/15

「2015会計事務所の経営白書」(以下、白書)が1月23日(火)に発売される。本書では100種類を超えるデータ、グラフ、統計を元に、会計事務所業界の現在を浮き彫りにする。ここでは「白書」に掲載される統計から先取りしてご紹介する。これまで「定説」とされてきた常識が本当なのか、検証してみよう。

「2015会計事務所の経営白書」統計分析

検証1 会計事務所業界は不景気を疑う

さらに増加する総売上理由は好景気と生産性向上

ひと頃は「1兆円産業」と言われていた会計事務所業界。不景気や低価格競争や顧客の争奪戦の激化から、会計事務所経営は苦境に立たされているというのが一般的な見方だった。

ところが、総務省統計局「サービス産業動向調査」を分析してみるとまた違った側面が見えてくる。

会計事務所業界の総売上は約1兆3千億円。平成22年を底に3千億円の増加となった平成24年の数値は昨年の「白書」でお伝えした。

最新データである平成25年の数値を見てみると、さらにここから30億円の増。会計事務所業界の売上は確実に伸長している。

この要因を特定するのは難しいが、いくつか考えられる。

●国内の景気が上向いている
●会計事務所経営の効率化が進んでいる
●低価格競争が一段落し、顧問料が上がっている
●顧客層の裾野が広がり、新たな客層を開拓できている

業界の伸長を実感できている事務所とそうでない事務所があるだろう。二極化が進むなか、どのように事務所改革をしていくかが問われている。

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検証2 大都市圏ほど1事務所あたりの売上は高いを疑う

高い平均売上を上げる南日本東北と山陰・山陽は苦境が続く

1会計事務所の平均年間売上は約4千万円。これは「経済センサス」など各種統計から割り出された数字だ。

とはいえ、東名阪、札幌、福岡といった大都市圏では大規模事務所が大きな売上を上げており、小規模事務所はなかなか売上を伸ばせていないと考えている方も多いのではないだろうか。

今年の2月発表された「平成24年経済センサス」の追加資料から、都道府県別の会計事務所の平均売上が分かる。

1位はやはり東京都で約7,300万円。平均を大きく上回る平均売上をたたき出している。

その一方で、2位~4位は長崎県、京都府、佐賀県、福井県といった南日本の各地方が占めている。

決して大都市圏だから売上が高いのではなく、その土地に応じたマーケティング手法や営業手法、サービス提供をいかに行えるのかが重要になっているのが分かる。

一方、県別にワースト5を見てみると、山陰・山陽地方と東北地方に大きく偏っているのが分かる。これらの地域では平均3,000万円を中心に売上が推移している。

これは、地方経済が疲弊している点、特に東北地方では東日本大震災も大きく影響していることが予想される。

ここから見えてるのは、「大都市圏だからお客さんは増える、売り上げも増える」というのは幻想だという点。確かに、大規模事務所は固まっているが、その分、自力で営業・マーケティングを行えない事務所は売上を伸ばせず、二極化が顕著に進んでいく。

ブランディングの強化、ネットワークの構築、Webやメルマガでの情報配信、セミナー活動など、小規模事務所ほど積極的なマーケティング活動が必要とされている。

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検証3 優秀な人材が取れないために生産性は落ちているを疑う

非正規雇用者の活用が事務所の生産性向上のカギ

事務所経営が苦しい、生産性が上がらない、職員教育が上手くいかず業務が回らない、そんな悩みを抱えている所長先生は多いのではないだろうか。

総務省「サービス産業動向調査」から、会計事務所の1従業員あたりの平均生産性が割り出せる。

過去5年間で最低だったのは平成23年の約695万円。円高不況のどん底にあり、顧問料の低価格競争が最も激しく行われていた時期でもあり、職員の採用も控えていた事務所も多かったはずだ。

ここから生産性は劇的に向上する。

平成24年が約746万円、最新調査の平成25年ではついに約807万円と約100万円も上昇している。

これは、事務所内の業務効率化が進んでいるからと考えられる。

この仮説を補強するデータがある。同じく「サービス産業動向調査」から、会計事務所の非正規雇用者数の推移を見てみよう。

平成22年の約17,000人を底に、平成25年には約21,000人と、約25%も増加している。

優秀な職員の奪い合いがこの数年で起こり採用難が続く中で、生産性を上げている各事務所は安価で手軽なパート社員を有効に活用している。

業務フローの細分化による工場化、マニュアル化の徹底、さらにはクラウド会計の導入による遠隔地勤務の実現なども最先端の事務所では採り入れている。

今後も採用難が解決する見通しは低い。事務所経営をいかに効率化していくのか、どのようにして生産性を上げていくのか。

その解決法のヒントが、この2つの統計から見えてくる。

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『2015 会計事務所の経営白書』

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