スタッフに商談全般を任せたら成約率が上がりました
2015/09/15
会計事務所が新規拡大する条件は何だと思いますか? それは、所長一人で営業をしないことです。所長単独での営業では限界があり、新規拡大が行き詰まります。コンスタントに新規顧客を獲得するためには、職員にも営業活動を担当してもらうことが必須なのです。
今回は、営業担当者を置き、商談をはじめとした営業活動全般を任せている黒川税理士事務所の事例を紹介します。
職員がお客様をさくさく増やす 会計事務所のモデリング Part.1
─鳥巣さんにはどのような職務を担当してもらっているのですか?
黒川氏:「Q-TAX店長」として商談全般を担当し、クロージング、価格決定権まで任せています。
─鳥巣さんに営業を担当してもらったいきさつを教えてください。
黒川氏:開業から3年くらい経って、新規顧客の量が増えてきて、私一人では営業活動が回らなくなってきました。また、所長がなんでもかんでも行っていては、事務所の発展はないと思い、鳥巣に「やってみる?」と気軽にQ-TAXの店長を頼みました。
─今はどれくらいの営業活動を担当いるのですか?
鳥巣氏:店長就任直後は、担当をすべてなくして営業専任になりました。しかし、スタッフの退職等で再び担当を持つことになり、現在も30件ほど担当しています。ほかに管理職としてメンバーのマネージメントにも当たっています。
─現在、営業に関しては、どのような業務を行っているのですか?
鳥巣氏:HP、DMからの問い合わせ、紹介案件、セミナー参加者からの問い合わせなど、あらゆるルートからの商談を担当し、契約まで行っております。
─営業と実務、マネージメントまで大変ですね。
鳥巣氏:とはいっても、DMの発送やフォローの電話・メール、請求書の発行等は、皆さんが手伝ってくれるので、助かっております。商談のスケジュール管理も、パートさんがやってくれています。
─商談はどのくらいあるのですか?
鳥巣氏:だいたいならすと月に20件です。多いときは1日に3件も集中したりすることもあります。
所長の営業ノウハウを自分なりにアレンジ
─所長として営業担当者にどのように指導、フォローしていますか?
黒川氏:はじめて任せるときは、私もいろいろと指導しました。事前準備の方法や応対の仕方まで事細かにフォローしましたね。
─ということは、「黒川流」の営業ノウハウを直接伝授したのですね?
黒川氏:そういうことになりますが、彼女は彼女なりに自分がやりやすいようアレンジしてくれています。
鳥巣氏:やはり「男性」「女性」、「所長」「スタッフ」という違いがあるので、100%まねするのは限界があります。一度すべて飲み込んで自分に合ったやり方にアレンジすることで、自分のノウハウへと落とし込みました。
─所長として、ほかにはどのようなフォローをしていますか?
黒川氏:全体の方向性をすりあわせるようにしています。明るく出迎えて商談も快活に行い、敷居の高さを感じさせないという事務所の特徴を商談に表現できるよう指導しています。また、「価格はここまでなら落としてもいい」というラインを決め、その範囲内で価格決定権を任せています。あと、「こんなお客様なら契約しなくてもいい」という基準も示しています。こうすることで、彼女も営業活動がやりやすくなります。
─スタッフのモチベーションを高めるために心掛けていることは?
黒川氏:特にインセンティブは設けていません。当事務所の考え方として、契約を取るのも仕事ですが、決算を組むのも仕事、記帳するのも仕事、マーケティングも仕事という具合に、チームプレーを重視しています。なので、契約を取った人にだけ歩合給を支払うのは違和感があり、うちのポリシーではありません。
一方、朝礼では週に一度、営業担当者がどれだけ成約したか、営業の方針はどうなのかなどを発表し、成果を皆と共有しています。
黒川税理士事務所の取り組みについての詳細は、新DVD『職員がお客様をさくさく増やす 会計事務所のモデリング』に詳しく収録しています。
黒川税理士事務所(東京都多摩市)
黒川 明氏(所長 税理士)
鳥巣かおり氏(Q-TAX多摩センター店 店長)