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「記帳代行革命」で高収益型会計事務所を実現する

      2015/09/11

会計事務所の80%が減収または横ばいで推移している中、20%の事務所は増収・増益を果たしている。その「2割の事務所」が一体何を行っているのか。その答えは「記帳代行」だった。

記帳代行を事務所経営の柱に据えることで固定収入をもたらす。増客、増収、増益を達成し、高収益型の事務所に生まれ変わるためには何が必要なのかを検証する。

増収・増益を果たしている事務所は記帳代行を手掛けている

全国で3万事務所を数える会計事務所の約8割が、売上減少または横ばいと言われている。

にも関わらず、会計業界全体の総売上はかつての1兆円から1兆3千億円に増えている。

会計事務所に増客、増収、増益をもたらすためには何が必要なのか。

増収・増益を続けている約2割の会計事務所に共通しているものは一体何か。それは記帳代行だった。

記帳代行には大きなマーケットが存在し、会計事務所が業務に取り入れられ、将来的にも成長が見込める。

これは、会計事務所がこれまで当たり前ととらえ、疑うことなく進めてきたビジネスモデルが限界に達しつつあることを示す。

顧問先に高額な会計専用ソフトや専用機(オフコン)を導入し、自計化を進める。

会計事務所が毎月巡回訪問を行って内容の精査をする。

会計事務所の顧問先の90%以上を占めると言われる年商1億円未満の企業に、果たしてこれらのサービスは必要なのだろうか。そして喜ばれているのだろうか。プロダクトアウトの発想で提供してきた従来のサービスを見直し、やるかやらないかの決断が迫られているのだ。

会計事務所を高収益型の体質に生まれ変わらせるためには、顧客ニーズに沿ったサービス提供が大前提となる。そのニーズこそが「記帳代行」だ。

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記帳代行は宝の山無限の可能性を手に掴め

記帳代行が持つ、大きなマーケットサイズを示すデータがある。

以前、編集部では自社ホームページ上で記帳代行サービスを宣伝している企業の運営母体を調査した(当社刊「会計事務所の経営白書2014」所収)。

結果は、50%以上を会計事務所が占めている一方で、一般企業、他士業など会計業界外からの参入が47.3%にものぼる。

それも、オフィス用品宅配サービス会社や、コピー機レンタル企業、経営コンサルティング企業など、対企業にビジネスを展開している大手企業の参入が相次いでいる。

これは、業界外から見て記帳代行に大きな魅力、ビジネスチャンスを感じ取っている証左といえる。

既存の企業に対して行われているこれらの参入と合わせて、日本では年間10万社が起業する。

自社内に十分な経理体制を構築する余裕のない、1億円未満のスモールビジネス層が約287万社と合わせると、どれだけ大きなマーケットが広がっているのかお分かりになるだろう。

これらの層は、自社内に専属の経理スタッフを採用したり経理部門を用意する余裕はない企業がほとんどだ。

その場合、経営者が選べる選択肢は2つしかない。

●経営者自ら経理を行う
●丸投げで記帳代行を依頼する

スタートアップやスモールビジネスの企業ほど経営が安定しておらず、経営者は本業に集中したい。

そのようなニーズがマーケットに眠っている、誰も掘り起こしをしようとしていないことに目をつけた企業が、会計業界外から侵食していると考えて良いだろう。

記帳代行には無限の可能性がある。そのなかでも、中小企業のもっとも身近なパートナーである会計事務所にとっては宝の山なのだ。

記帳代行で事務所に固定収入をもたらす

記帳代行は会計事務所に固定収入をもたらす。固定収入を増やしていくことで事務所の経営体質を安定化し、事務所を強く育てていくことができる。これが高収益型の会計事務所への第一歩だ。

また、記帳代行は会計事務所の業務においてもシンプルで、所長の手間がかからないうえに、ある程度のパターン化ができる。ひいては、突出して能力が高いスタッフも必要としない。どの事務所でも、どの地域でも、記帳代行を収益のひとつの柱にして高収益を目指すことができるのも大きな要素だ。

かつて、高度な経営コンサルティングを会計事務所に取り入れていくための動きが活発化した時代があった。

しかし、時が経ち現在にいたっても、不動産、資産税、経営計画などに特化して大きく成長した会計事務所はほんの一握りしか存在しない。地域や顧客と提供しようとしていたサービスが噛み合わない、ニーズとそぐわないといった理由などで、大半の事務所において上手く行かなかったのが現状だ。

記帳代行は、大きなマーケットサイズを持つうえに、会計事務所の得意分野、いや本職とも言える業務だ。他業種が持ち得ない、大きなアドバンテージを活かすも殺すも、事務所を経営する所長先生の判断ひとつである。

今後も拡大していく記帳代行のマーケット

人生50年と言われた時代ははるか昔、いまでは65歳を超えても元気に働く人は多い。

今後、高齢者の確定申告の代行といったニーズは増えていくだろう。

会計ソフトは便利になった。インターネットを使えば誰でも容易に調べられるようになった。それでもやはり自分でやるのは荷が重いという層は必ず存在する。

アメリカには申告代行会社H&Rブロックや給与支払代行会社のADPといった巨大企業が存在する。

彼らのターゲットは大企業ではなく、まさに「自分で申告するのは面倒臭い」と代行を依頼する個人だ。少額のギャラでも数が集まれば大きな利益となる。

日本にはいまだこのような層をターゲットにして成長を遂げた大手会計事務所は存在しない。

今後、スモールビジネス層や起業家たちをターゲットに記帳代行サービスを提供し、これらを入口商品として、顧問先とより緊密な連携を取るための経営コンサルティング・サービスを提供する事務所が成長していくだろう。

この場合の経営コンサルティングとは、「親身になって相談を受けてくれる相談役」といったニュアンスが近い。先ほどアメリカの申告代行会社の話をしたが、アメリカの一般的な会計事務所の約90%が行っている手法だ。

会計事務所にはマーケットインの発想が求められる。自社が届けたいサービスを深堀りして提供するのではなく、お客様が何を望んでいるのか、潜在顧客が求めている埋もれたニーズは何か、今一度考える必要があるだろう。

本業に集中したい、経理にわずらわされたくない、経営が安定するまで余剰人員は採用できないと悩む経営者や起業家たちにとって、記帳代行はいまもっとも会計事務所に求めたいサービスだ。

時代に合わせて柔軟に頭の切り替えを図って成長するか。

従来の成功体験にとらわれて、事務所が提供したいサービスを提供し続けるか。

決断のときがやってきた。

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