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節税提案の可能性広がる「組織再編成税制」の全体像

      2015/09/07

競争が激しい税理士業界。「組織再編成税制に詳しい」ということはそれだけで大きな差別化要因になると考えられます。クライアントは税理士に節税提案を期待しています。提案の可能性が広がる組織再編成税制を深く理解しておくことで、顧客満足が飛躍的に高められるのです。

今回は松嶋洋税理士が、組織再編成税制の全体像について解説します。

知識を究めれば大きな差別化を図れる!

法人税法に規定される組織再編成は7つ。すなわち合併、分割型分割、分社型分割、現物出資、現物分配、株式交換、株式移転です。まず、それぞれの組織再編成の内容を簡単にまとめてみましょう。

1.合併
合併とは二以上の会社が一つとなり、新しい組織を作る行為をいいます。合併の場合、合併される法人(被合併法人)が、合併をする法人(合併法人)と合体し、一つになります。合併に限った話ではないですが、組織再編成も取引である以上、その取引には対価が発生します。この対価を再編対価(以下同じです)といい、合併については、合併法人から被合併法人を支配している株主に再編対価を交付することになります。

2.分割型分割
分割型分割は、分割という組織再編成の一つです。分割は、合併の逆、すなわち一部の事業を別の法人に移転承継する行為を言います。分割の場合、事業を移転する法人(分割法人)が、その事業を承継する法人(分割承継法人)に移転することにより、分割法人はスリムに、分割承継法人はビッグになります。再編対価については合併と同様、分割法人を支配している株主に交付することになります。

3.分社型分割
分社型分割も分割の一種ですが、再編対価を分割法人の株主ではなく、分割法人自身が交付する、という違いがあります。

4.現物出資
現物出資は、金銭以外の資産(土地や有価証券など)を出資する行為を言います。現物出資を受ける法人(被現物出資法人)については、出資ですので資本の増加と株式の発行(言い換えれば、再編対価の交付)があり、現物出資をする法人(現物出資法人)は、資産の譲渡と株式の取得、という処理になります。

5.現物分配
現物分配は、金銭以外の資産(土地や有価証券など)を配当する行為を言います。現物分配を受ける法人(被現物分配法人)については、受取配当を認識し、現物分配をする法人(現物分配法人)は、分配の対象になる資産の譲渡と配当の支払いという処理になります。

6.株式交換・株式移転
株式交換及び株式移転は、二以上の法人で100%の支配関係を作るために、一方の法人の株式の全部を別の法人に取得させる行為を言います。株式交換は既存の法人を親法人とするのに対し、株式移転は法人を新設することになります。

子法人となる法人を株式交換子法人または株式移転子法人といい、親法人となる法人を株式交換親法人または株式移転親法人といいます。再編対価は、子法人を支配している株主に対して交付されます。株式交換や株式移転は、持株会社を作りやすくするために設けられた制度です。

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『組織再編成税制のポイント』

松嶋 洋税理士
税務総合調査コンサルタント・税理士。2002年東京大学卒業。03年国民生活金融公庫(現日本政策金融公庫)入庫。04年東京国税局入局。管内税務署において、法人税等の税務調査・審理事務に従事。07年企業税制研究所(現日本税制研究所)入所。主任研究員として、各種セミナー講師及び出版業務並びに法人税制の研究に従事。09年都内大手税理士法人入社。節税実績1億5千万円の相続対策や、4,000万円超の追徴を未然に防止する税務調査対策に従事。11年松嶋洋税理士事務所を開業。税務調査対策を入口とした、総合的なコンサルティング業務を実施している。著作は『最新リース税制』(共著)、『国際的二重課税排除の理論と実務』(共著)。

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