医業特化を経て介護・相続の新たなステージにチャレンジ
2015/09/08
税理士法人中央総研は全顧問先約550件中医業関係が約150件を占める医業特化型会計事務所。一方で、笹谷俊道代表社員は「医業特化で差別化するには、医業だけやっていたら難しいです。業務の総合化・複合化を図らないと」と語る。今後の医業特化事務所のあり方について、常に一歩先を進んで道を示している。
約150件の医業関係の顧問先を擁している税理士法人中央総研。その多くは開業から関与にあたり、開業指導コンサルティングを最も得意とする。
「クリニックの開業は素晴らしいドラマです」と語る笹谷氏。開業までの準備期間は医師が開業の意思表示をしてから短くても1年、中には数年に及ぶケースもある。この間、さまざまな企業や専門家とチームを組んで、開業をサポートしている。物件探し、事業計画作成、開業資金調達、医師会や保健所等への各種届出、医薬品卸会社の選定、スタッフの採用など、全方位的に支援にあたる。
開業支援にあたってはネットワークを形成。医薬品販売会社、建設会社、建築設計士、不動産業者、ハウスメーカー、広告会社、警備会社、レセコン(レセプトコンピュータ)販売会社、金融機関等、顔ぶれはバラエティーに富んでいる。これらのネットワークが相互に連携し、確実な開業を実現している。
この幅広いネットワークが新規拡大に活きている。医業関係の新規顧問先は、ほとんどがネットワークか既存顧問先の医師からの紹介で完結する。
一方で笹谷氏は「これからの時代、会計事務所が医業の経営コンサルだけに特化すると頭打ちになるのでは」と懸念する。その理由は「医業特化会計事務所の増加」「医業コンサルティングの総合化」だという。
「私たちが医業特化を始めた当初は、同じような会計事務所が少なかったものです。むしろ、ドクターは会計事務所から敬遠されていました。今では『医業に強い』とアピールする事務所が増えました。しかし、顧問先を紹介してくれる周辺の方々の数は変わりません。その方々からすると、顧客を紹介しなければいけない税理士の数が増えてきたのではないかと思います。だから今後はあまり多くの紹介が望めなくなるのではと考えています」
幅広いネットワークを形成し開業支援を手掛け紹介を得る
これからの医業特化会計事務所に求められるのは「総合力」だと笹谷氏は指摘する。中央総研では医業特化に伴い、相続や事業承継の案件が増加。年間での相続税申告は約25件と、全国的水準よりも高い。今では相続専門チームに4人の人員を割いている。ほかにも、介護業界への比重も増大。医療機関が介護分野に参入するのと同様に、自然と介護特化への道筋が形成された。
「医業に特化したおかげで、当事務所は総合力がつきました。これからの医業経営は複雑化、総合化し、次のステップに向かっています。一方、会計事務所もそれに対応することが求められます。今後はドクターの開業支援、経営指導だけでは立ち行かなくなると思いますね。もはや当事務所では『医業に特化している』から『医業にも特化している』というスタンスに変化しつつあります」
現在は医業コンサルをはじめとした実務は、スタッフが中心に行っている。
「私が直接担当していたころは何でも即決でやっていましたが、スタッフに任せると時間がかかります。しかし、任せないと次世代の人材が育ちません。だから今はスタッフの自主性を重んじて実務を任せています」
クリニックの開業支援では、スタッフの採用もサポートすることから、自社の人材採用にも自信を持つ。事務所説明会から筆記試験、面接等の採用フローを確立。新卒採用にも積極的で、毎年数名が入社。中京地区の大学の就職部とも強力なコネクションを築き、良質な人材の確保に努めている。
医業特化を礎にして、サービスの総合化を図り、次なるステージへと動き出す税理士法人中央総研。新たなドラマは今、始まったばかりだ。
笹谷氏を講師にお招きして制作したDVD『医業経営コンサルティング総合ガイド』が好評発売中だ。
全顧問先550件中、150件を医療関係が占める税理士法人中央総研が持つ医業経営支援に関するあらゆるノウハウを惜しみなく公開した本作。ぜひお買い求めいただきたい。
[事務所DATA]
税理士法人中央総研(三重県桑名市)
代表社員税理士:笹谷俊道氏
開業:1983年(2003年税理士法人化)
職員数:30人顧問先数:約550件
※数字は2013年5月現在