業界規模15兆円の飲食店マーケットに参入しよう!
2015/09/08
業種特化の代表格のひとつが飲食業。どの会計事務所でも何件かは飲食業の顧問先を持っているでしょう。しかし、一歩踏み込んだ付加価値の高いサービスを実践している例はそう多くありません。低価格競争の波が押し寄せ、入れ替わりが激しい飲食業界。そんな激動期に繁盛店へと高めるサポートができれば、事務所の差別化・ブランディングへとつながります。
今回は飲食専門税理士の藤井健氏と飲食店ブランディングコンサルタントの阿部祐之氏が、飲食店マーケットの特徴と可能性について解説いたします。
飲食店は頼れる税理士を切望している
まず下のグラフをご覧ください。これを見ると一目瞭然なのですが、サービス業のなかでも、一般飲食店が従業員数でも事業所数でもダントツで一番です。街を歩いていると、飲食店があふれかえっていることからも、マーケットの大きさが肌で感じられます。税理士がこれだけ大きな市場をターゲットとするのは有意義なことです。
飲食店の業界規模は約15兆円となっています。特徴としては、新規設立が多いことが挙げられます。総務省の資料によると、新設率は業種別で3位となっています。ほかにも新設率が高い業種はありますが、事業所数が少なくてターゲットとして狙えません。しかし、事業所数が多くて新設率も高いのは飲食店だけなのです。新設法人を狙っている方は、飲食店特化をセットにして考えることをおすすめします。
新規開業が多い一方、廃業率が高いのも飲食店の特徴です。特に個店経営の飲食店は厳しい状態に立たされています。飲食業界に参入する際は、この「廃業率の高さ」を意識しなければなりません。
外食産業の市場規模は、少しずつ縮小傾向にあります。業態別に見ると、特に喫茶店やカフェはチェーン店が伸びていますが、個店の喫茶店は減っています。寿司屋も同様で、回転寿司店や宅配寿司店は伸びていますが、昔ながらの個店の寿司屋さんは淘汰されています。これらの背景をつかんでおく必要があります。
飲食店オーナーは金勘定のさじ加減が分からない
飲食店の実力は、メニューのおいしさと集客力にあります。しかし、これらが十分に備わっていても潰れます。なぜかというと、オーナーは財務に関しては素人で、経営者としても素人同然の場合が多いからです。
「良質な素材を使って原価をたくさんかけたらお客さんが来る」と思い込み、ロスリーダーのメニューをたくさん作ってしまう人は少なくありません。料理の腕はあっても、金勘定のさじ加減が分からない人が大半なのです。
こうした飲食店のオーナーを助けることができるのは税理士にほかなりません。飲食店は頼れる税理士のアドバイスを切望しているのです。
なので、飲食店のお客様と新規契約しても、記帳や申告だけの表面的なサービスだけを行っていては、廃業してしまう可能性が高いです。淘汰の波に飲み込まれないようにケアするのが私どもの大きな役目ではないのでしょうか。
個人的には、居酒屋が狙い目の業態ではないかと思います。「少子化」「若者のアルコール離れ」といったネガティブファクターがありますが、個店がまだまだ元気に頑張っています。もちろん、大手のチェーン店が台頭していますが、シェアを完全には牛耳られていません。私たちのアドバイス次第で盛り返せると思います。
藤井健氏税理士
飲食専門税理士。2002年大原学園法人税講師。06年4大税理士法人Ernst&Young、税理士法人グローバルタックスサービス。11年税理士法人The CFO Tax&Accounting (飲食店専門税理士法人)社員税理士。12年TAXGYM渡邊勝也会計事務所入所。
阿部祐之氏
飲食店ブランディングコンサルタント、宅地建物取引主任者1996年大和銀行(現りそな銀行)融資課所属。98年大和銀行(現りそな銀行)相談課所属。2005年面白法人KAYAC 所属 ディレクター。06年株式会社クーピー・マネージャー。07年DONBURI CAFEDINING bowls ディレクター兼店長。08年グッドデザイン賞受賞(SFC稲陰研究室共同プロジェクト) プロデューサー。12年TAXGYM渡邊勝也会計事務所入所。