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事務所発展の鍵は人材にあり

      2015/09/08

「給与規程」のない会計事務所では人材を雇えない

会計事務所には「営業力」や「契約力」、そして「マーケティング力」が必要だとお伝えしてきた。顧客を拡大し事務所の売上を伸ばしていくためにはこれらが欠かせない要素であるのは間違いない。しかし、それ以前に必要な物がある。それが会計事務所を形成する「人材」だ。

優秀な人材を獲得できるか否かで事務所の未来は決まる。事務所の将来を背負って立つ「人材」を獲得し、長く事務所の力とするために必要な要素は一体何か。その答えを探る。

生き残るためには給与規程と研修制度が必須

ある業界関係者はこう話す。

「やはり事務所の人事制度が整っていないところには、人材は入ってきません。給与規程と研修制度、この2つが今後、会計事務所が生き残っていくために絶対に必要です」

会計業界のポールシフトが起こり、環境が激変してから久しい。しかし、まだその変化は終わったわけではない。

近10年はマーケティングと低価格化の波が押し寄せたが、次に来るのは人材の奪い合いだ。会計事務所の資源は「人」。生き残りを懸けた優秀な人材の奪い合いがこれから始まる。

会計事務所が人材獲得競争に参加するために必要な「最低資格」ある。それが「給与規程」と「研修制度」だ。この資格なくしては、この競争に参加すらできない時代なのだ。

今回「税理士業界ニュース」では、株式会社TACプロフェッションバンクと株式会社大原キャリアスタッフの協力のもと、両社主催の就職イベントに潜入取材を試みた。

会場で行った学生への出口調査の結果、興味深い事実が次々と明らかになった。

まずはアンケート1をご覧いただきたい。

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最多の票を集めたのが「人間関係が良い」との答え。これは気持ちよく仕事ができる、居心地が良い職場を希望していると言い換えられる。会計業界はもともと人材の回転が速い業界ではある。

しかし、会計事務所に会計処理だけではなくコンサルタント業務も期待されている今、顧問先との間に太い信頼関係を結ぶためには職員を簡単に辞めさせてはならない。

人材が簡単に流出してしまう事務所は、顧問先の信頼を失い、勤めている職員のモチベーション低下を招き、さらに外部から優秀な人材も取りにくくなるという負のスパイラルを引き起こす。この連鎖は是が非でも止めなければ事務所の成功はない。

では、職員に長く安心して働いてもらうためにはどうすれば良いのだろうか? その答えは「給与」だ。

給与規程のない事務所ではもう人材は雇えない

昨今の就職希望者は総じて「草食化」しているという。これはアンケート2の「給与」に関する答えを見ても伺える。勤めたくない事務所として「給料が安い事務所」と答えたのはわずか4%、はじめから高給は期待していない現状が分かる。

現在、会計業界における就職状況は、事務所側の買い手市場となっている。

ところが、良い人材/優秀な人材には人気が集中しており、「優秀な事務所発展の鍵は人材にあり「給与規程」のない会計事務所では人材を雇えない人材にとっては売り手市場」という一極集中現象が起こっている。

他事務所との採用競争に勝ち抜き採用できた人材も、薄給で雇用し続けていては、事務所の将来に希望が持てず離職してしまう。

それを避けるためには、職員の成長に合わせた給料を払うための「給与規程」が不可欠だ。 良い人材を確保し、経験を積ませ事務所の中軸を任せられる戦力となるまで育て上げる。

職員に支払う給料は「コスト」ではない。事務所を成長させるために必要な「投資」なのだ

事務所のビジョンに則した給与規程の制定が急務

いまだ徒弟制度的な雰囲気が色濃く残る会計業界では、激務・薄給がデフォルトとなっている。

しかし、アンケート2を見ても、就職希望者自身はそのあたりを覚悟して会計業界に飛び込もうとしていることが分かる。

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アンケート3の「希望給与」に関する結果を見ても、最多希望年収が350万円と、決して高額ではない。「仕事のやり方を教える代わりに、給料は抑え目で」という、会計業界で長く続いている慣習を就職希望者たちも受け入れている様子が伺える。

では、昇給のチャンスを与えない、もしくは基準が分からないままで良いのだろうか。

担当数を増やしても給料が上がらない、新規の顧問先を獲得しても上がらない、若干昇給したけれどもその理由が分からないといった環境下で、モチベーション高く働くことができるだろうか。

就職希望者たちは
●社会貢献したい
●税務に関わりたい
●企業経営に携わりたい
といった、気高い理想を胸に業界に飛び込んでくる。

それでも、薄給で激務、自身の将来の展望もよく分からないという職場では、長く勤めることは困難だ。

職員が安心して働ける環境を作るためには、事務所のビジョンに則した給与規程の制定が欠かせない。

何をしたら給料が上がるのか何をしたら手当が付くのか

給与規程を制定するためには、他の事務所でどのような運営を行っているのかを参考にすると良いだろう。

高い営業力で売上を伸ばしているある事務所では、新規の顧問先を営業で獲得した職員に、営業手当として月額顧問料の数ヵ月分を支給している。

また、職員の離職率が低いことで知られる別の事務所では、抱えている顧問先の担当数に応じて歩合制の手当を支給している。

新規に顧問先が増えても仕事が増えるだけで給料は上がらないというのでは、仕事に対するモチベーションに大きく響いてしまう。

担当者の士気が下がればミスも増える。ミスが増えれば顧問先の信頼を失ってしまう。どんな手当を支給するにせよ、職員のモチベーションをいかに高めるかを念頭に置いて制定する必要がある。

他にも、禁煙したらミニボーナスを支払う「禁煙手当」や事務所内の改善点を見つけたら支払われる「改善手当」など、事務所によってユニークな手当が存在する。

事務所が何に価値を見出しているのか。事務所や所長の価値観に沿った給与規程を制定することで、職員の意志はひとつになり団結力はさらに強くなる。

『新・会計事務所の給与・報酬システム』

 - 事務所経営