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必要性高まる国際税務の知識

      2015/09/08

「今度海外に進出しようかと思うんだけど」「海外に移住すると税金はどうなるの?」というように、お客様から突然、国際税務に関する質問を受けるケースは少なくないでしょう。そんなときにスラスラと答えられると、お客様に不安を与えることがなく、「この税理士はよく知っている」と、良い印象を与えられます。

今回は渕香織税理士が、国際税務の必要性について解説します。

もう「専門外」では済まされない

かつては国際税務というと、大企業だけに必要な税務だと思われていました。しかし昨今では中小企業でも国際取引が増加しており、それに伴い国際税務の必要性がますます高まっています。

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上の表をご覧ください。海外子会社を保有する企業の割合をグラフに示しています。これを見ると一目瞭然ですが、製造業の中小企業で海外子会社を保有している割合が増えています。1994年では8.1%だったのが、2007年には17.1%と2倍以上の伸びを示しています。製造業以外でも、1994年の6.6%から2007年は12.1%と倍近く伸びています。

このグラフはあくまでも海外子会社を保有している割合です。

「子会社は持っていないけれども、海外に支店を設立した」「海外に支店や子会社はないけれども、国際取引を始めた」という企業を合わせると相当な割合になり、年を追うごとに増加しているものと推測されます。この結果を見ても、国際税務の重要性をご理解いただけるのではないかと思います。

課税リスクを最小限に抑えることも重要

国際税務は、法人税や所得税などの直接税に限らず、消費税や関税などの間接税も関係してきます。納税義務者としては、コンプライアンスと呼ばれるような課税所得の計算と税金の計算をするだけではなく、課税リスクを最小限に抑えることも重要です。いわゆるタックスプランニング、コンサルティングと呼ばれる業務は、国際税務の実務で非常に重要な部分になります。

そもそも「国際税務」とは何かといいますと「国際取引が行われたときの課税方法の取り決め」を指します。

何も国際税務の専門家だからといって、世界のすべての国の税務に精通しているわけではありません。

私自身はインドや中国などの税務については、実務を通じてある程度はわかるのですが、細かいことになると現地の専門家の方々と連絡を取り合いながら業務を行っています。ですので、こちらは日本側の税務、課税関係の専門家という立ち位置になります。

海外取引、海外進出と、グローバルな視点でビジネスを展開する中小企業は確実に増えています。クライアントから国際税務に関して質問を受けたときに、スムーズに答えられるようになることが、これからの税理士には求められるでしょう。

『実務に身近な国際税務の基礎知識』

渕 香織税理士
外資系航空会社勤務を経て、税理士に転向。その後、都内の個人会計事務所及び新日本アーンストヤング税理士法人勤務。同法人勤務中には経済産業省に出向し、国際税務税制改正要望をまとめる仕事にも従事。2010年12月渕香織タックスアンドコンサルティング設立。2011年には経済産業省管轄の団体である、独立行政法人中小企業基盤整備機構海外販路開拓支援アドバイザーに就任し、多くの中小企業の海外進出を支援している。

 - 税務一般