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コーチングの技術を身につけて顧客の中にある答えを引き出す

      2015/09/08

金融円滑化法の終了にともなって、資金調達に対するニーズが増している。

「経営革新等支援機関」の認定を受けると、中小企業の資金調達に関して有利な条件を提供できることもあり、認定を受ける会計事務所も多いが、「中小企業の役に立てる支援機関は少ないだろう」と、株式会社ネクストフェイズ代表取締役の東川仁氏は話す。では、支援機関に求められるスキルとは、中小企業や金融機関が必要としている支援機関としての機能とは一体何か、話を聞いた。

経営革新等支援機関の認定を受けるだけではダメ!

―経営革新等支援機関に登録する税理士先生は多いですが、これをどう活かすべきなのでしょうか

東川仁氏(以下、東川):2012年末の段階で、2,000人以上が支援機関の認定を受けています。しかし、このほとんどが真の『認定機関』としての活動はできないだろうと考えています。

―それはなぜでしょう?

東川:支援機関は財務的な支援を求められています。資金調達をするにあたって中小企業が求めているのは、売上をいかに上げるかということ。売上の伸びる事業計画書がないと銀行も融資してくれませんからね。そのためにはマーケティングの知識が必要です。この分野に強い税理士さんも多くいらっしゃるとは思いますが、ほとんどはそうではないはず。事業計画を作るにあたって、この知識がないのでは売上アップのアドバイスをするのは難しいでしょう。

―ではどうすればよいのでしょうか?

東川:最低限のマーケティングの知識は仕入れておいたほうが良いと思います。なにも、難解な用語を勉強する必要はないんです。例えばマーケティングの4Pについてとか、製品と市場の成長マトリクスについて、この辺りの知識があるだけで、お客様や金融機関と話すときに全然違ってくる。でも、一番大切なのは「聞く力」を身につけることです。

―「聞く力」と言いますと?

東川:少し私の話をします。私は「コーチング」の技術を勉強しました。これを勉強する前、お客さんを前にコンサルティングをしているとき、お客さんが2割、私が8割しゃべっていた。あとで聞いたら、かなりお客さんは不満を持っていたそうです。コーチングを勉強して教わったのが、自分がしゃべるのは3割、あとの7割は相手に喋らせるということです。

―聞くことに徹すると?

東川:少し違います。相手が自分の中に持っている良いアイディアを引き出すための質問をする、ということです。コーチングとは相手の中にある知識や技術を引き出すためのテクニックです。まったく自分が知らない業種の方とお会いしても、30分間お話させていただいて、効果的な質問をすることで、その業種におけるポイントが分かるようになります。相手から情報を引き出すにおいて効果を発揮するのがコーチングのスキルです。

―なるほど。

東川:別の角度からご説明します。支援機関に認定されたら、中小企業の事業計画策定のお手伝いをする機会があるでしょう。しかし、金融機関はあまり税理士さんの作った事業計画を好まない。数字の辻褄は合っているのですが、売上アップの具体的な方策がない、さらに、経営者に説明してくれとお願いしても説明できません。なぜなら税理士が作った計画だからです。

―自分で説明できない計画を達成できるわけがない、と。

東川:そうです。事業計画は経営者が徹底的に考え抜いて作り出すものでないと意味が無いんです。支援機関はそのお手伝いをする必要がある。そのためにはコーチングの技術、マーケティングの最低限の知識がいるんです。

―良いアイディアを出すための触媒になるということですね。

東川:業界知識のない人間が中途半端に考えて立てる計画よりも、業界について知り尽くしている経営者本人が考えたほうがはるかに現実的なアイディアが出ます。その現実的な答えを引き出すためには、良い質問をするスキルが必要なんです。ぜひ、コーチングの技術を学んで、ただ申請しただけで終わらせずに、真の意味での経営革新等支援機関として、中小企業のお役に立って頂きたいですね。

『新規顧客獲得のための新しいツール「経営革新等支援機関」とは』

『「銀行同行税理士」になりビジネスを拡大させる初歩的ポイント』

東川 仁氏
中小企業診断士・繁盛士業プロデューサー。関西大学卒業後、地元地域金融機関に勤務。2000年12月に勤務先が破たん。「カネなし」「資格なし」「人脈なし」「経験なし」の状況で経営コンサルタントとして独立。生き残るための試行錯誤を続けていくことで、独自の人脈やノウハウを構築。現在は仕事の2割をセミナー経由で、8割を銀行を含めた紹介経由で獲得している。年間150回以上のセミナー・講演・研修をこなすかたわら、数多くの金融機関や士業・コンサルタントに対して積極的に支援を行っている。主宰する「クラブネクストフェイズ」という士業・コンサルタントのコミュニティーでは、新規顧客獲得や報酬額の増額といった成功事例を輩出している。

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